激動の幕末・維新期、新政府の外交交渉を担い奔走した宗城の直筆日記！『伊達宗城在京日記』に未収録の一級史料を原文翻刻とともに現代語訳・充実の補注を付け公開！“戊辰戦後の混乱と版籍奉還”の第一弾

監修：宇和島伊達文化保存会
編纂：近藤俊文・水野浩一
　　 ［宇和島歴史文化研究会］


A5判並製
172頁
定価 2,200円（本体2,000円＋税10%）
ISBN978-4-902416-47-3

　宇和島伊達文化保存会には、宇和島藩伊達家初代藩主秀宗から九代藩主宗徳にいたる判物、系譜・系図・履歴、辞令書、建白・意見書、藩主直書、書翰・日記、及び藩政全般にかかる諸史料など、約4万点の大名家文書を保管されている。また、これらの原史料とは別に、筆写された稿本史料が、「藍山公記」と題する八代藩主伊達宗城の伝記稿本181巻をはじめとして1,500点近く残されている。
　本叢書は、これらの原史料及び稿本史料から、七代藩主宗紀、八代藩主宗城、九代藩主宗徳の時代に焦点を充てて興味深いものを精選し、シリーズとして発行するものである。

　第８集は明治2年1月より8月までの出来事を綴った直筆日記である（略称：御日記⑥）。
　戊辰戦争の帰趨がほぼ決すると、旧幕時代から放置されていた外交、内政両面の懸案が一気に吹き出して新政府の屋台骨を揺さぶった。 積年の貨幣問題、抜けきれない攘夷感情、文明開化への抵抗、国粋保守派のテロ･妄動、それにキリシタン迫害等である。 その難局の矢面に立たされたのが主として外国官であり、その知官事であった宗城であった。 時を同じくして有利に展開した戊辰戦争を背景に、新政府内における権力構造の変貌の時期であった。すなわち薩長土肥への権力集中と宮廷勢力、諸侯の排除。そして封建領有制の破壊を意味する版籍奉還である。 本日記にはこれらの難問の処理に尽瘁しながら、自身の出処進退にも苦慮する宗城の激動の日々が記録されている。“戊辰戦後の混乱と版籍奉還”の第一弾。
　今回も既刊の『御日記』シリーズ同様、読者のご要望に応え現代語訳と詳細な人物注を付し、内容がより理解できるように努めた。

〈本書の内容〉

●発行によせて（宇和島伊達文化保存会理事長・伊達宗信氏）
●史料（翻刻及び現代語訳）
　「伊達宗城公御日記　「備忘」明治二己巳暮春より」（近藤俊文・水野浩一）
●解題：「明治二、三年の伊達宗城公御日記類について」（水野浩一）
●解説：「戊辰戦争勝利による封建領有制の崩壊と社会的混乱」（近藤俊文）
●付録：「明治二己巳年英王子アデンプルフ来朝御接伴ニ付四月より備忘手記」
●人名索引