激動の幕末・維新期、新政府の外交交渉を担い奔走した宗城の直筆日記!『伊達宗城在京日記』に未収録の一級史料を原文翻刻とともに現代語訳・充実の補注を付け公開!“戊辰戦後の混乱と版籍奉還”の第二弾

『伊達宗城公御日記』「備忘手記」明治二己巳九月五日より同三庚午 ―日本近代化の基礎を築く―

『伊達宗城公御日記』「備忘手記」明治二己巳九月五日より同三庚午 ―日本近代化の基礎を築く―

監修:宇和島伊達文化保存会
編纂:近藤俊文
   [宇和島歴史文化研究会]


A5判並製
172頁
定価 2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN978-4-902416-51-0


 宇和島伊達文化保存会には、宇和島藩伊達家初代藩主秀宗から九代藩主宗徳にいたる判物、系譜・系図・履歴、辞令書、建白・意見書、藩主直書、書翰・日記、及び藩政全般にかかる諸史料など、約4万点の大名家文書を保管されている。また、これらの原史料とは別に、筆写された稿本史料が、「藍山公記」と題する八代藩主伊達宗城の伝記稿本181巻をはじめとして1,500点近く残されている。
 本叢書は、これらの原史料及び稿本史料から、七代藩主宗紀、八代藩主宗城、九代藩主宗徳の時代に焦点を充てて興味深いものを精選し、シリーズとして発行するものである。

 第9集は明治2年9月5日から翌3年閏10月5日までの出来事を綴った直筆日記である(略称:御日記⑦)。
 時あたかも内戦に完全勝利した天皇政府が、西欧列強に伍して近代国民国家へと脱皮しようとする苦闘の始まりの時期にあたる。 戊辰戦後処理と版籍奉還の混乱の中、各地で勃発する騒擾、新政府内における保守・開明路線政争である民蔵分離問題とそれに絡む人材登用問題、貨幣問題、灯台・駅逓・鉱山・鉄道・電信・製鉄事業設立など課題は山積していた。 先の外務卿、そして民部大蔵卿として指揮にあたり、近代日本の礎を築いた一人である宗城の姿が、簡潔すぎるほど抑制された筆致の日記から浮かび上がる。第8集に続く“戊辰戦後の混乱と版籍奉還”の第二弾でもある。
 今回も既刊の『御日記』シリーズ同様、読者の便に供するため現代語訳に加え詳細な人物注や簡潔な日記の背後に見い出される事柄把握のために補足の注を付し、内容がより理解できるように努めた。
 また、日記に頻出するリエゾン・オフィサーとしてのアレクサンダー・フォン・シーボルトや鉄道敷設借款問題に関わるホレーシヨ・ネルソン・レイ等、日本で活躍・暗躍した外国人にも焦点を当てている。


〈本書の内容〉

●発行によせて(宇和島伊達文化保存会理事長・伊達宗信氏)
●史料(翻刻及び現代語訳)
 「伊達宗城公御日記「備忘手記」明治二己巳九月五日より同三庚午」(近藤俊文)
●解説:「備忘手記」(近藤俊文)
 一 伊達宗城民部大蔵卿の誕生
 二 新生日本の土台を据える ― 改正掛という坩堝
 三  保守・開明路線政争(いわゆる民蔵問題)
 四  アレクサンダー・フォン・シーボルト ― 宗城とパークスのリエゾン・オフィサー
 五  鉄道導入での宗城とパークスのコラボ
 六  正史から消えた大総督府参謀林玖十郎とその再出仕
●付録:関連書簡類・その他 
●人名索引


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